スキップしてメイン コンテンツに移動

販売時課税に光を――EC通関から見た第7次NACCS

 👉EC通関の現場で感じた“限界”と、販売時課税に見えた希望。

  第7次NACCSの追加項目が意味するものを、現場から考えました。

  EC通関の世界に飛び込んでわかったこと


🔗関連記事

  第7次NACCSと通販等識別について思うこと


第7次NACCS改訂に伴う「配送先データ」効率化 通関士がVBで勝手に挑む秒との闘い①(開発編)|通関Lab


第7次NACCS改訂に伴う「配送先データ」効率化 通関士がVBで勝手に挑む秒との闘い②(高速化編)


第7次NACCS改訂に伴う「配送先データ」効率化 通関士がPythonで勝手に挑む秒との闘い③(丸ごとやり直し編)


🗓️ 第7次NACCSをツマミに語らう会を開催します!


通関の新しい景色が見たい|通関Lab




私はずっと海上貨物の通関士として働いてきました。
最後の10年勤めた会社を退職したとき、すでに中堅クラス。
「少し休みたいな」と思って、特に次の職場も決めずに辞めました。

でも、どうせ次にやるならやったことのない分野に挑戦してみたい。
そう思って選んだのが「EC通関」でした。


「やめとけ」と言われたけれど

税関OBのナーミーに相談したとき、返ってきた言葉は即答でした。

「あかん、やめとけ。」


「検査も多いし、大変や。シフト制で土日祝固定休でもない。
そんな世界に飛び込んだら、今よりしんどくなるだけや。
不満があっても今の会社におれ。
そこにおったら減免をずっと担当できるし、土日も休めるやろ。」

でも私は言うことを聞かず、ダメ元で面接を受けたら合格。
まさか受かるとは思わず、「え、マジで?」という気持ちで入社しました。
後になって痛感することになります――
「大人の言うことは聞いておけ」と。


EC通関は、まるで別世界

最初に驚いたのは、通関現場のスピードと文化の違い。
海上では、解説を読みながら10桁のHSコードを引き、
品番コードをもとに丁寧に書類を作るのが日常。

でもECの現場では、誰もタリフを見ていない。
むしろ、手書き。まるで速記。
「4桁と税率を暗記して、インボイスの横に手書き」して、
代表品目を瞬時に決めてIDA入力――その速さは尋常じゃない。

一瞬でも止まると、「2秒止まったら終わりのゲーム?」という世界。
最初はとてもついていけませんでした。

でも、見えてきたんです。
「あ、季節商品が多い。HSコードも季節でパターン化できるな」と。
そこで自分でマクロを組み、IDA出力を自動化。
件数を一気に処理できるように改善しました。


海上では見なかった「課税価格の考え方」

もうひとつ驚いたのは、課税価格の算定方法。
手数料などを加算して計算書を作る――
海上では見たことのないやり方でした。

でも、関税定率法第4条を読むと、「ああ、そういうことか」と納得。
これからは「EC」を知りたい、そう思って入社したから
未経験の私を雇ってくれた社長には、本当に感謝しています。
EC通関で学んだことは計り知れません。


そして、第7次NACCSへ

今回の第7次NACCSでの入力項目追加を見て、
「なるほどなぁ」と思いました。
豊さん(X @richwood0212)の言う「来るべき法改正」――

まさに今が準備期間なんだと思います。

EC現場で働いて感じたのは、
「これ全部リアルタイムのラインでやるなんて無理ゲー!」ということ。
事後調で対応してほしい、
そう願いながらランチも食べられない日々を過ごしました。だからブラックフライデーだとかセールがあるたびに現場のことを想うと、みんなランチ食べれるかな?心配になります。

どれだけシステム化しても、内点・検査・税関対応は人。
限られた人員で、コストを抑えて回すのは本当に難しい。

だからこそ、販売時課税を国税側で処理する流れは、

販売時課税は、通関業者や税関の「輸入時の通関・納税事務負担の軽減」

を主要な目的の一つだと私は理解しているので

現場にとって大きな救いになると思っています。



「立替問題」にも光を

最後に気になったのは、
財務省資料の最後にあった「通関業者の立替問題」。



出典:急増する少額輸入貨物の課題と対応の検討 より

――誰か知らないけれど、よく言ってくれた!

EC現場では、立替金もチリツモで本当に大変。
その負担を軽くできる制度設計になることを心から願っています。

だから私は、販売時課税、大賛成。
空港にも、ようやく少し平和が訪れると信じています。


EC通関で学んだこと

EC通関を通じて、単にスピードだけではなく、
売買契約・送金明細・所有権の移動など――
海上でB to Bしか知らなかった私は、たくさんのことを学ぶことができました。

時代が変化すれば、法律も変わっていく。
それにキャッチアップしていくのが精いっぱいだけど、
日々、通関士として精進していきたいと思います。



  




コメント

このブログの人気の投稿

HSコードで世界を救うゲーム作りました。― classification-voyage ―

▶ ゲームをPLAYする あなたは勇者です。 HSコードを学んで世界を救ってください。 このゲームでは、実務でよく迷うHS分類を 「考えて選ぶ体験」 としてプレイできます。 さらに、解説に書かれている内容に加えて ベテラン通関士の実務の知見を織り交ぜた 「classification-voyage 攻略本」 を制作中です。 →やっと完成しました(2026.04.30) 正解を覚えるのではなく、迷い、考え、選ぶ。 そんなHSの世界を、楽しみながら体験してもらえたら製作者として、これ以上うれしいことはありません。 まずは、勇者が母国を旅立ち、 伝説の通関士「マスターウサコ」に弟子入りして通関の修行をするところまでを、プロトタイプとして制作しました。 ぜひ PLAY してみてください。現在は試作のためモンスターHSは30個だけ。 何回かPLAYすればきっと覚えられます😄 実務に近い環境でトレーニング(テンキーがベスト、F2の操作)を行うため、 今は PC専用 としています。 <2026.02.23開発ログ> ・HSモンスターをまずは15体からスタートに変更しました。new!  →週明けにひとつずつ増やしていきます。 <勇者育成プログラム始めました> <まだ改善できてないところ> ・最初にno more 誤謬!がちらつく <2026.02.18開発ログ> ・HSモンスターが50体になりました new! <改善できたところ> ・ランダム抽選のため、モンスターが重複する →重複無しにしています。 ・材質が入りきらない など… →レイアウト変更しました。 <まだ改善できてないところ> ・最初にno more 誤謬!がちらつく <2026.01.15 開発ログ> ・モンスターを5体追加し、全部で35体になりました new! <改善が必要だがまだできていないところ> ・最初にno more 誤謬!がちらつく ・ランダム抽選のため、モンスターが重複する ・材質が入りきらない など…  →ちょっと重めの変更なので、週末にすこしずつ改善したいと思います。 ◆著作権について◆ © 2026 通関レシピ研究所 本コンテンツの全部または一部について、著作権者の許可なく無断で転載、複製、配布、改変することを禁止します。 ◆免責事項◆ 本コンテンツは、公表資料をもとに...

英文住所を郵便番号から半自動変換|NACCS対応 住所ローマ字変換ツール【無料】

📖 マスターウサコの7つどうぐ — 第1の巻 β版|調整中の魔法書 ✦ 道具その一 ✦ 英文住所の翻訳魔法書 郵便番号や地名から英文住所を生成する魔法の書 ▶ 内容に同意して試してみる 無料 / ログイン不要 ※本ツールはβ版テスト公開中です。精度・挙動は随時調整されます。 不具合や気づきは X(@tsukan_recipe) のDMで教えてもらえると助かります🐰 英文住所への変換、手作業でやってますか? 郵便番号や地名を入力するだけで、英文住所・ローマ字住所を自動生成できる無料ツールです。ダブルクリックでCSVファイルでダウンロードできます。 第7次NACCS更改(2025年10月)で、配送先住所の登録が必要になりました。 入力負担を減らしたくて、昨年からtomoがひとりで勝手にチャレンジし始めたこの企画…(公式とは無関係です💦) 🐰 マスターウサコより 郵便番号や地名を唱えよ。 この魔法書が、英文住所に変えてみせよう。 コピペができるようにダウンロードするのじゃ。 — 伝説の通関士・マスターウサコ — ⚠️ 現場の悩み 送り先の住所が日本語しかない 郵便番号や地名から英文住所を一発で引きたい コピペでそのまま使えるものが欲しい ✨ 魔法書の力 🔢 郵便番号で検索 7桁で即表示 🔤 漢字、カナでも検索 部分一致対応 📋 そのままDL ダブルクリックでダウンロード 🏛️ 税関コード対応 保税蔵置場コードから一部逆引き可能 📌 なぜ作ったか 第7次NACCSの更改で「配送先」フィールドが新設されました。全国にいる物流の勇者たちが毎回配送先入力に時...

現場のみんなに聞かせてほしい。アンケートのお願い。

tomoです。今日はみなさまにお願いがあります。もしよかったら、5分ほどアンケートに協力してもらえると嬉しいです。 ✈️ 航空通関担当の方はこちら👇 アンケートに答える(航空) 🚢 海上通関担当の方はこちら👇 アンケートに答える(海上) 最近は、ゲームを作ったり、便利ツールを作ったり、プログラムをしている時間の方が長いかもしれません。 私は、この伝統を重んじる通関業界で、従来の慣習も大切にしながら、法解釈の範囲の中で効率化できるものがあれば取り入れて、少しでも体調を崩すような残業から解放されたいと思っています。 もし事務作業を機械に補助してもらえて、通関士や通関のスタッフがもっと「通関そのもの」に専念できたなら、どんなにいいだろう。毎日そう思っています。 計算書の数値手入力、英文住所検索、商品ページやカタログの印刷、画像をインボイス順に並び変えたり…。どれも通関には欠かせない作業ですが、全部を人力でやっていると、時間がいくらあっても足りない。 そこからさらに、計算書作成 → 申告書作成 → 審査 → 申告 → 税関審査 → 税関応対 → 検査対応…と続いていく。しかも、それが1件ではない。 だからせめて、事務作業を機械に補助してもらい、人が最後に仕上げる形で効率化できたら、もっと通関書類の作成や確認に時間を使えるんじゃないか。そう思って、ツール作成をしています。 私は非エンジニアながらプログラムを使う通関士。エンジニアよりも現場を知ってる。だからきっと役に立つものが作れるはず。そう思ってました。でも違った。ごめん。 少し前にお友達にヒアリングしてみたら、なんとなんと、考えもしなかったところでみんなが困ったり、しんどいと感じてると初めて気づかされました…。 現場が困ってること、こうなったらもっと便利になるのに、ということを現場のみんなは明確に持ってたのに、私はみんなに聞くまでそこにたどり着くことはできませんでした。 同じように考えているエンジニアのお友達とも話しながら、「もっと良いものができないか?」を考えています。そのために、実際に現場で働いているみんなの声を聞かせてほしいです。 どんなところが大変なのか?どんなツールがあったら助かるのか? 住所を検索したり、数値を手入力したり…そういうことでパワーが奪われて、本...